マーケティング 経営について

NPS:顧客志向を徹底するための指標

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以前、「マーケティングとは、商品・サービスが選ばれ、そして、選ばれ続ける仕組み(=必然性)を作ること」というお話をしました。

積極的なマーケティングを行わずとも商品が売れ続けることがマーケティングの最終形です。

そのためには、商品の良さを広げてくれる「ファン」を作ることがもっとも大切です。

しかし、商品について満足しているかどうかをお客さんにお聞きしても、なかなか本当のことを教えてくれないことがあります。

ではどうすればいいか。そこで考えられたのがNPSです。

当院でも導入を検討しており、少しまとめておきたいと思います。

(詳しく知りたい方は下記の書籍をお読みください。)

NPSとは?(3つの特徴)

NPSとは、「顧客ロイヤリティ」を計測するためにフレッド・ライクヘルドライクヘルドという方が考えた指標です。

NPSの特徴として、次の3点が挙げられます。

① 顧客ロイヤリティの指標。

顧客ロイヤリティとは、簡単にいってしまえば、どのくらい自社や自社のコンテンツのファンがいるかを示す言葉です。ロイヤリティというなかなか定量的にならない概念をNPSを用いることで、「見える化」できることが特徴の1つです。

② 評価から行動へ。

またNPSは、顧客ロイヤリティを示すだけでなく、それを向上するためにはどうすればいいかという行動まで導くことができることも特徴の1つです。

③ シンプル。

そして、他の顧客満足度調査と異なり、質問項目がたった2つのみと非常にシンプルなことも特徴の1つです。質問がシンプルであればあるほどお客さんからの回答率は高くなります。

なぜNPSが必要なのか?

NPSが必要な理由には下記の2つが挙げられます。

① 企業活動を正しく評価する。

そもそも、企業活動の目的とはなんでしょうか?

私は「世の中に何かしらの価値を提供すること」が企業活動の目的であると考えています。(価値については「コンテンツが持つ価値の2種類」でまとめております。)

そして企業は、その提供した価値よって人々の生活がどれぐらい豊かにできたかで評価されるべきと考えております。そして評価するためには、それに対応する指標が必要になります。

提供した価値によって人々の生活が豊かになればどのようなことが起こるでしょうか?

それは、価値を得た人達の企業に対する顧客ロイヤリティは向上する、つまり、その企業のファンが増えていきます。

よってNPSは、企業が提供する価値によって人々の生活をより良いものにできているかどうかの指標と考えることができます。

② 顧客志向を徹底する。

NPSを向上させることは、顧客体験を向上させることに他なりません。そして、NPSは行動に繋がる指標でもあるため、取り組む組織に顧客体験を向上させるためにはどうしたら良いかを積極的に考え行動するという、顧客志向の企業文化を生み出すことができます。

NPSがなければ、企業活動を測定するには財務諸表の指標を見るしかなく、その数字のみを追っていると、顧客志向というもっとも企業が大切にすべきであり利益の増加に繋がる考えを見失ってしまう可能性があります。

NPSの目的とは?

NPSを用いることで、顧客のロイヤリティを計測し、ロイヤリティを向上させるためにはどのような行動を取るべきかを示すことができます。

顧客ロイヤリティを高めるために投資をすることは、収益を上げることに繋がります。その利益を利用してロイヤリティの向上へさらなる投資が可能となります。

この好循環を獲得することがNPSの一番の目的です。

NPSの形式とは?

NPSの形式は、シンプルな質問、わかり安い評価方法、具体的な行動、の3つからなります。

① 質問

NPSは次の2つの質問を基本としています。

質問① 0~10点で表すと、この企業(orコンテンツ)を友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか?

質問② その点数をつけた理由はなぜですか?

①の質問は、NPSは黄金律(「自らが他人に求めることを、他人に対して行え」)が守られているか確認する質問すると言えます。

その企業のファンであれば、自分が得た価値をぜひ友人にも与えたいと思う気持ちを確認する質問です。

そして②の質問は、なぜファンなのか、または、なぜファンでないのかを示すものであり、この質問に対する回答が顧客ロイヤリティを向上するための行動に繋がります。

② 評価

① 10,9点を推奨者、8,7点を中立者、6点以下を批判者に分類

② NPS = (推奨者の割合)ー(批判者の割合)

顧客を、推奨者、中立者、批判者の3つに分類する理由は、この3つの分類にある顧客の取る行動が大きく異なるからです。

推奨者は自ら進んで企業を紹介したり、商品購入の頻度も単価も高くなる傾向にあるのに対して、批判者は企業の評判を下げるような口コミを行ったり単価も安いといった傾向があります。NPSを向上することは、推奨者を増やし批判者を減らすことに他なりません。

NPSの向上が利益の向上に繋がるのはこのためです。非常にシンプルです。

③ 行動

質問①から、自らでは気づかなかった自社の強みを知ることができます。その強みを知りさらに強化することで、企業が提供できる価値は向上していきます。

大切なのは質問②の取り扱いです。自社の弱みを知りそれを改善できるチャンスであると同時に、0点をつけた批判者の質問②を放置すると企業の批判に繋がり、これが甚大な損失につながる可能性があるピンチでもあります。0点の批判者に対しては直接連絡を取り、可能なかぎり短時間で問題を解決する必要があります。この時、ある程度の決定権のある者が対応に当たる必要があります。決定権のない者が対応に当たると、自体を悪化させる可能性もあります。

NPSの運用上ルールとは?

運用する上で注意すべきルールに以下の7つが挙げられます。

① 質問は2つのみのシンプルなものにする。

質問が複雑になれば、回答率も下がり顧客の本当の声を聞くことができなくなります。

② 0~10点など一定の評価基準を設ける。

評価基準がブレては指標として成り立ちませんし、時間経過に伴う変化も追うことができなくなってしまいます。

③ 回答率を高める。

回答率が低い場合は本当の顧客の声と考えることができません。場合によっては、質問に答えてくれない顧客を、数秒で終わる質問にも答えてくれない批判者であると判断する必要があります。

④ 財務諸表の数字と同様にNPSを大切に扱う。

計測してもそれに対してしっかりと評価し行動に移せなければ、意味がありません。財務諸表の数字と同じようにNPSを大切に扱うことを企業文化にまで浸透させる必要があります。

⑤ 評価に対する行動を素早く行える組織を作る。

現場レベルで評価に対する行動を素早く行えるようにしなければ、NPSに対して真剣に取り組んでいるとはいえません。そして、行動を取ることが組織をより良いものにするための学びに繋がります。

⑥ 数値の正確さを保つ。

NPSを個人の報酬などの連動させた場合、NPSをよく見せるための不正が生じる場合があります。指標としてバイアスがかからないように対策を取る必要があります。

⑦ NPSと実際の顧客の行動を評価する。

NPSの増加はファンが増えたことを意味します。ファンが増えれば一般的に顧客の利用頻度や単価は増える傾向にあります。よって、実際そのようなことが実際に起こっているか検証する必要があります。

検証を行うことで、数値の正確さを保つことができますし、そもそも顧客の行動と連動しない数値を測定することに何の意味もありません。

NPSを成功させるためには?

NPSが単なる顧客調査で終わらないようにするためには以下の5つの土台づくりが必要です。

① 経済的に成立できるか検討する。

NPSを高めるために素晴らしい取り組みであったとしてもコストがかかり過ぎてしまい、その企業が存続の危機に瀕してしまっては意味がありません。

推奨者を増やすために投資し、顧客ロイヤリティを高めることが、収益を上げ、その利益を利用してロイヤリティの向上へさらなる投資が可能となる好循環を獲得することが一番の目的です。

② 職員自体が企業の推奨者になる。

職員自体がその組織の推奨者にならなければ、顧客を推奨者にすることはできません。詳細は次の項目でご説明します。

③ 経営トップから広める。

NPSがなぜ必要かを経営トップから組織全体に伝え、その後もトップや経営幹部が率先してNPSの向上に取り組み、顧客の声に自ら耳を傾ける姿勢を保ち続けることが必要です。

④ 企業文化として浸透させる。

長期的な視点で、推奨者やファン顧客を増やすかに焦点を当て、NPSを高め続けていくことを企業文化にまで落とし込む必要があります。

⑤ 現場レベルで行動を起こせる組織づくり。

顧客からのフィードバックを下手に加工せず現場に伝え、責任を持って問題に対する解決策を現場が考え行動できるような組織づくりを行う必要があります。

職員からファンにする。

先述の通り、職員自体がその組織の推奨者にならなければ、顧客を推奨者にすることはできません。そのためには以下の2つが大切です。

① 土台づくり

そのためにはまず、職員がその組織に誇りを持てるように職員に接することが大切です。その上で、組織によって表現の違いはありますが、黄金律に基づいた理念を掲げることが大切です。そのような理念のある組織は従業員を引きつける魅力を持つようになります。

② 職員NPS

この土台の上で、職員に対してもNPSを計測し、職員NPSを向上させるための取り組みを行います。職員NPSは本当の声を聞くために匿名性は担保する必要があります。

 

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