健康について 食事

自分の一日食事量ってどのくらいが正しい量なの?

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今回の話の10秒まとめ。

① 何を食べるかより、どのくらい食べるかが重要。

② 体重の増減がない食事摂取量が、適切な摂取量。

③ 適正体重はBMIによって計算できる。

④ 年齢・活動性によって推奨される食事摂取量が決定する。

⑤ 食事で摂取する栄養素の割合は、炭水化物50%、タンパク質20%、脂質30%。

⑤ 大切なことは、栄養の基礎知識の元、毎日体重を計り体重を適正範囲内に維持する食事摂取量を感覚的に覚える。

何を食べるかの前に、どのくらい食べるかを知ろう!

外来で良く患者さんから、「何を食べればいいのでしょうか?」と言う質問を受けることがあります。

メディアで「〜が体に良い!」といった特集をするからでしょうか、患者さんの多くが食べ物の『種類』にこだわる方が多い印象を受けます。

しかし、その前に理解しなければならないことがあるのをご存知でしょうか?

『何を食べるか?』ではなく、『どのくらい食べるか?』に注意しましょう。

ちなみに『何を食べるか?』については、UCLAの津川先生がご著書で現在科学的に明らかになっている健康に良い食材についてまとめてらっしゃるので、ご興味のある方は、こちらをお読みください。

また、今回のお話は日本人の食事摂取基準:厚生労働省を基にしております。ご興味のある方は合わせてこちらもご覧ください。

体重に変化がなければ、食べた量=消費した量。

食事摂取を考える上で最も大切は式があります。

体重の増減 = エネルギー摂取量(=食べた量) ー エネルギー消費量(=使った量)

言われるとすごく当たり前ですが、とても大切な式です。

患者さんの中で、「食べてないのに太ってしまう」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、そんなことは決してありません。口からエネルギーを食事として摂取する以外に、エネルギーを体内に取り入れる方法はないからです。体重中が増えてしまうのは、摂取量よりも消費量が少ないことが原因です。

つまり、『どのくらい食べれば良いか』に対する答えとして最も適切な解答は、『体重が増えずに一定になる量』になります。

では仮に、身長170cm、体重90kgの男性が現在の食事量を調整して体重が増えなかったとした場合、次の事を考える必要があります。

それは、『果たしてその体重が自身にとって適切な体重なのか』です。

BMI:適切は体重を計算する方法。

BMIという言葉は、健康管理に余念がない方のみならず、一般に方もお聞きになったことがあると思います。ここでもう一度この言葉の意味を確認しておきましょう。

BMI(Body Mass Index)とは、体格を評価する指標の一つであり、

BMI =  体重 (kg)/ (身長(m))

で求めることができます。簡単に体格を評価することができるため、様々な研究でこの指標と健康の関係が調べられております。

構成労働省ではこれらの研究をまとめ、年齢に応じた目標とするBMIの範囲を示しております。

この数値に基づいて目標体重を計算して見ましょう。上の式から、

目標体重 = 適正BMI x  (身長(m))

となるので、これを基に先ほどの表から年齢に応じた体重をまとめてみると、

となります。ご自身の体重がこの範囲に入っているか確認してください。表よりも重い(低い)場合は、食事量を減らす(増やす)必要があります。

推定エネルギー必要量の求め方

(式を見て吐き気のする方は、飛ばしても大丈夫です。)

一日に必要なエネルギー摂取量(=推定エネルギー必要量)は下記の式で求めることができます。

推定エネルギー必要量 = 基礎代謝基準値(kcal/kg/日) x 参照体重(kg) x 身体活動レベル

年齢によって基礎代謝基準値(kcal/kg/日) は決定し、体重も年齢に応じた目標体重もBMIから求めることができます。よって、年齢と活動性から推定エネルギー必要量を求めることができます。

活動性は以下の表を用いて評価します。

仕事中の歩行時間が最も理解しやすいのではと思います。15分ぐらいなら活動性Ⅰ、30分ぐらいなら活動性Ⅱ、1時間以上でしたら活動性Ⅲです。

以上から、推定エネルギー必要量を求めることができます。

で、結局、何キロカロリーが適切なの?

ごちゃごちゃと書きましたが、結局のところ年齢と活動性によって推奨される摂取カロリーが決定します。

まとめると以下の表になります。

推奨摂取キロカロリー

炭水化物:50%、タンパク質:20%、脂質:30%

では、上記でも求めた一日摂取カロリーを、どのような種類の食べ物から取り入れるべきでしょうか?

皆さんは「3大栄養素」という言葉をお聞きになったことはありますか?きっとどこかで耳にしたことはあると思います。

3大栄養素とは、「炭水化物(お米やパンや砂糖など)」、「タンパク質(肉)」、「脂質(油)」のことであり、人間の体はこの栄養を元に作られております。

そしてどのくらいのカロリーをそれぞれの栄養素から摂取すべきかということも、前述の日本人の食事摂取基準:厚生労働省に記載されております。

その割合が、炭水化物:50%、タンパク質:20%、脂質:30%です。

具体例で考える。

ではここで、具体例を挙げて考えていきましょう。

身長170cm、活動性Ⅱの30代男性を例に考えます。

前述の表から、この方の一日推奨摂取キロカロリーは、2650kcalと求められます。

この摂取カロリーを「炭水化物:50%、タンパク質:20%、脂質:30%」の割合で摂取します。

ちなみに、炭水化物1gは4kcal、タンパク質1gは4kcal、脂質1gは4kcal、と言われております。

よって、

炭水化物で1325kcal ➡︎ 炭水化物で約330g

炭水化物で530kcal ➡︎ タンパク質で約130g

脂質で795kcal ➡︎ 脂質で約90g

となります。

注意すべきことは、摂取するどの食材にもこれら3つの栄養素がある一定の割合で含まれているため、炭水化物はお米だけ、タンパク質は赤身の肉だけ、脂質はサラダ油だけ、などの偏った摂取はできないということです。様々な食材から上記のバランスを意識して食事を摂取して行く必要があります。これは非常に難しいことです。

大切なことは、毎日体重を計ること

前述の通り、細かく食事を管理し、摂取すべき食材の種類と一日の摂取カロリーを計算するのは結構大変です。

(最近は写真を取るだけで食事のカロリー計算をしてくれるアプリもあるので利用するのも一つの手です。 → あすけん

ですから、最も簡単な方法は、次の3つを行うことです。

① 基本的な栄養の知識(一日の摂取キロカロリーと3大栄養素の摂取バランス)を理解する。

② 毎日体重を計る。

③ 適正体重になるように(or 維持するように)日々の食事量振り返り調整する。

基礎知識の元で、毎日体重計に乗り、日々の食事量や運動量を振り返ることで、自分に合った食事量を推定できるようになります。その感覚を身につけることが健康な体づくりにとって最も重要なことです。

そういう意味で一昔前に流行った毎日体重を記録するだけのダイエットもあながち捨てたものではないですね。

ただし、大切なことは『体重を管理しようと決意』し、日々『振り返ること』です。この決意と振り返りがなければ、ただのメモにしかならないので注意が必要です。

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