使命 組織づくり 経営について

当院の使命② 患者さんの受診体験を最高のものにする。

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組織には、その存在理由=使命(Mission)が必要です。

当院は2019年4月の開院当初から、世の中に価値を提供できる組織になるために、3つの使命を掲げることにしました。

その2つ目が以下になります。


当院の使命②:患者さんの受診体験を最高のものにする。

なぜこのような使命を掲げたのか?

それは、これまで10年以上医療業界で働いてきた中で感じた、問題点を解決できるような使命を当院の使命に掲げたいと考えたからです。

その問題点とは『医療業界全体に蔓延するのサービス業としての意識の欠如』です。

全ての企業はサービス業。

わたしの実家は、創業66年を迎える靴の小売店を営んでおります。

家業が忙しく、生まれたての頃、靴の倉庫の中で過ごした記憶が今でも鮮明に残っています。

また、叔父も世界的に有名なIT企業のアジアトップを勤めた経営者です。叔父もこの企業で「ハードからサービスを提要する」ことに大きな舵を切った人物でもあります。

私も高校時代から実家の靴屋で働き、一度は家業を継ごうとも考えた後に一念発起して医師を志し、医学部に入学しました。

そんな環境で育ったわたしは『商売人気質が強い』と自分で感じています。

ここでいう商売人気質とは、決して悪い意味ではなく『価値を提供する代わりに対価をいただく』という、商売を行う人にとっては当たり前の考え方のことです。

上述のような環境で生まれ育ったため、自然にこのような気質が身についたのだと思います。

世の中の全ての企業は、社会に何かしらの価値を提供することで対価をいただき、その対価をさらなる企業活動に繋げて活動を行なっております。

そういう意味で、全ての企業はサービス業であるとわたしは考えております。

医療もサービス業。

このようにいうと、「医療はそんなものではない」というお叱りを受けるかもしれません。しかしわたしは、医療業界も患者さんに医療というサービスを提供しその対価をいただいている以上、サービス業に他ならないと考えております。

むしろこのサービス業であるという意識がかけていることが様々な問題を生んでいると考えております。

靴屋の場合は、多少靴が痛んでいても日常生活になかなか困ることがないため、靴を買い換えるまでのハードルは以外に高いものと感じています。そのため、このハードルを超えやすくするために様々な付加価値を提供し、お客さんに再び当店で買っていただくように策を講じます。

しかし医療機関の場合、患者さんは何か体に異常を感じたために近くの医療機関を受診されます。自分の体の異常は靴が痛んでいる場合とは比にならないほどの受診(来店)訴求効果があるため、受診までのハードルは靴屋のそれに比べ低いと言えます。

また、日本の保険制度は素晴らしく、自己負担額が1~3割程度であることも、受診のハードルを下げています。

このような恵まれた環境にあるにもかかわらず、その状況にあぐらをかき、酷い言い方をすれば「どうせ患者さんは受診する」といった態度で診察を行なっている医療機関は非常に多いと感じております。

またこの現状は、これまでの日本の疾病構造に由来すると考えています。

疾病構造の変化が医療のサービス提供形態を大きく変える。

日本の疾病構造はこの100年間で劇的に変化しました。

戦前まで主な死因は感染症でした。戦後は医療の発展や公衆衛生の改善によって感染症は減少し、その代わりに高度成長期には脳血管障害が問題となりました。その後、降圧剤や救命医療の発達により脳血管障害の救命率が上昇しました。そして現在医療における主な問題は生活習慣病とがんに変わってきています。

高度成長期までの医療は、「とにかくこの薬を飲みなさい。」や「この治療をしなければ死んでしまう。」といった疾患が多く、パターナリズムが成り立ちやすい環境がありました。

しかし、生活習慣病が主な問題となった現代では、このような態度では治療継続がままなりません。生活習慣病の患者さん自分自身の行動を見直す、つまり、自身の行動変容を促し治療を継続していただく必要があります。

そのためには、患者さん自身が納得し、また受診したいと思っていただけるような医療サービスを提供し、治療を継続していただく必要があるのです。

そのサービスは本当に目の前の患者さんを笑顔にするか?

このような背景から、私は次のような使命(Mission)と課題(Foucs)を掲げることにいたしました。

使命2:『患者さんの受診体験最高のものにする。』

生活習慣病が疾病構造の主な現代にでは、患者さんの意識自体を変え治療を継続していただく必要があります。

また、生活習慣病治療の難しいところは『未来に症状が起こらないようにするために、現在特に症状は無いにも関わらず、受診するための時間や費用などのコストを「イマ」患者さんに払っていただかなければならない』ところにあります。

そして、『仮に治療がうまくいっていても、その結果は症状が出ないという目に見えない形で現れるため、患者さん自身は治療効果を感じることができない』ということも治療継続を難しいものにしています。

このような状況では、なかなか受診を続けるというモチベーションを維持することはできないでしょう。そのために私が考えたことは、『受診するその体験自体が何か素晴らしいものにすることができれば、受診を続けてくれるのでは無いか』ということでした。

課題2:『そのサービスは、本当に目の前の患者さんを笑顔にするか?』

受診体験を素晴らしいものにする。つまり、受診することで何か素晴らしい価値を手に入れることができる。

そこで私がたどり着いた答えは、『受診するだけで笑顔になれる』です。

「とにかく楽しいから受診する、その結果、気づいたら健康になっていた」を目指したい。

これを達成するために、私たち一人ひとりが患者さんにサービスを提供する際に『そのサービスは本当に患者さんを笑顔にすることができるかどうか』を日々自分たちに問いを立てることが必要だと考えています。

 

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