前回は、貸借対照表(BS)について解説をいたしました。今回は、損益計算書(PL)について解説をします。
目次
PLは利益の流れ(フロー)を示し、BSは利益の蓄積(ストック)を示すもの。
はず初めに、BSとPLの持つ意味、そして、両者の関係性について考えてみましょう。
BSは、ある時点での資本と資産の関係を示すものです。
企業は利益という資本を利用して、利益を生み出す資産を購入します。そして、その資産が利益という新たな資本を生み出すというサイクルを持っています。BSはそのサイクルを、ある時点で、例えば2019年1月1日のように、ある決まった時点で止めて、その時の状況を一つの表で表現したものです。
これに対してPLは、一定の期間、例えば2018年12月1日から12月31日という一定の期間における売り上げと経費、そして利益の関係を示したものです。
この両者の関係は、蛇口とバケツの関係として表現することができます。PLとは、ある一定期間の利益という水が出る蛇口の流量(フロー)を示したものであり、BSとは、ある時点でどの程度その利益という水がバケツに溜まっている(ストック)かを示すものです。
PLを読むための基礎知識
一般的はPLの表を元に、PLを読むための基礎知識を確認しましょう。
1) 売上
表の1番上には、一定期間の売り上げが記載されます。
PLの構造は、この売上からさまざまな経費や税金が差し引かれ、最終的な金額が表の一番下に記載されます。これがその期間の純利益を示しています。
2) 変動費
2番目に記載されるのが変動費です。
変動費とは、売上に連動してその金額が変動する費用のことです。変動費の中身は、材料や商品を購入した際の仕入費用や在庫、または、外部に仕事を委託した際の外注費などです。
3) 粗利益
3番目に記載されるのが粗利益です。
売り上げから変動費を差し引いたものが粗利益になります。
4) 固定費
4番目に記載されるのが固定費です。
固定費とは、売上の大小に関わらず、企業がその期間で絶対に払わなければならない費用を意味しています。
固定費の中身は、光熱費、人件費(経済学的には変動費に含まれる場合もありますが、実際の現場では固定費として扱います。例えば、売り上げが低ければ人件費を減らせば良いと学問的には理解できますが、売り上げが下がったと同時に職員を解雇するのは現実的には問題不可能に近いからです。)、家賃、減価償却費などがこれにあたりです。
5) 営業利益
5番目に記載されるのが営業利益です。
粗利益から固定費を差し引いたものが営業利益です。
6) 営業外収支
6番目に記載されるのが営業外収支です。
営業外収支とは、直接本来の営業活動によって発生するものではない収支<のことです。受け取り利息や支払い利息などはここに含まれます。
7) 経常利益
7番目に記載されるのが経常利益です。
営業利益に営業外収支を加減したものが経常利益(経営を行う上で反復的(=常に)に生じる利益)です。
8) 特別損益
8番目に記載されるのが特別損益です。
特別損益とは、企業の経営活動によって反復的に生じるような損益ではなく、例えば災害などによって生じた損益のことです。
9) 税引き前利益
9番目に記載されるのが税引前利益です。
経常利益に特別損益を加減したものが税引前利益です。
10) 法人税など
10番目に記載されるのが法人税などです。
税引前利益をもとに差し引かれる税が決定します。
11) 当期利益=純利益
11番目に記載されるのが当期利益です。税引前利益から法人税を差し引いたものが当期利益です。この当期利益から配当や役員賞与を引いたものが内部留保金になります。
難しい言葉が並んでいるように感じますが、ひとつひとつの意味は大して難しくありません。大切なことは、『これらの数字を使ってどのように未来を想像するか』です。次回はその点についてお話をいたします。