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ターゲットを具体的な存在として想像する。
前回まで、マーケティングの基本的なフレームワークであるRSTPについて確認を行いました。忘れてはいけないことは、フレームワークとはあくまで戦略を考える上での方法論であり目的でないということです。フレームワークを当てはめることに集中しずぎて、肝心の目的を見失っては意味がありません。そのことを意識しながら、フレームワークを完成させていきます。
RSTPの結果、自分たちが資源を注ぐべき戦場および戦略目標(戦略ターゲット・コアターゲット)が明らかになった後、次に行うことは、ターゲットを具体的な存在としてイメージすることです。ターゲットを具体的な存在として意識するために、ターゲットの中に代表的な存在を一人の人間として、年齢・性別・趣味・仕事・家族構成などをイメージする方法(ペルソナ)もあります。
そのほかに、マーティングファネルという『顧客が商品・サービスを認知し購入しその後周囲に口コミするまでの一連の流れ』を数段階に分割し、その各段階について細かく戦術を練る方法もあります。最も有名なものにAISAS理論というものがあります。これは、マーケティングファネルの各段階の頭文字をとったものです。
AISAS
Awareness:存在に気づく
どんな商品・サービスでも、まずはその存在に気づいてもらえないと、購入までつなぐことはできません。
例えば、病院を受診する場合、まず近くにそのクリニックがあることに気づいてもらえなければその病院に受診をすることすら思い浮かびません。そのため、ターゲットとなりうる方に広告やネット上の検索ページなどを通して、当院の存在を知っていただく必要があります。
Interest:興味を持つ
存在に気づいてもらった後は、商品・サービスに興味を持ってもらう必要があります。広告を通じて、今まで意識に上がって来なかったニーズを刺激し、その商品・サービスが属するカテゴリーに対する興味を惹起します。そして、そのカテゴリーに対するニーズが高まった時に、その商品・サービスを思い浮かべてもらうように仕向けます。
病院の場合、広告や病院のホームページを通じて、その病院が扱っている症状について理解し、興味(Interest)を持ってもらう必要があります。そうすることで、今まさにその症状を抱えていれば、次のSearchやActionに繋がります。また、症状が生じた時に、真っ先にその病院を意識してもらうこともできます。
Search:検索する
商品・サービスが属するカテゴリーに興味を持った場合、最近はスマホの発展もあるため、消費者の方は購入の前にそのカテゴリーについて検索を行う傾向があります。検索の結果、比較検討を行い、自社の優位性を示すことができれば、次のアクションに繋がります。
また、広告や自社のホームページを見ている時も、頭の中で今までの経験に基づいたその商品・サービスのカテゴリーの検索を行い、比較検討を行っています。その時点で、しっかりと自社の特徴を伝えることができれば、次のActionに繋がります。
Action:行動(購入)する、繰り返し利用する
ここまでの過程をうまく乗り越えたターゲットが購入で繋がります。以前にも話したように、消費者は商品が良いから購入するのではなく、良さように「見える」から購入するのです。
そして、この購入時の体験が、購入前の期待をいい方向に裏切ることができれば、繰り返しの利用に繋がります。よって、商品を良さそうに見せることも大切ですが、あまりにも購入前の期待度を高めてしまうと、場合によってはその期待を悪い方向に裏切ってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
大切はことは、『良い』商品・サービスがもつ価値を『正しく』伝えることです。提供するものがよくなければそもそもダメですし、嘘をついて商品・サービスをよく見せてもいけません。
購入前の期待を裏切られると感情が動き、その体験を周囲の人に伝えたいと思うのが人間です。この場合、良い話も悪い話も伝わってしまいます。そして、悪い話は広がりやすいものです。良い方向に期待を裏切るように、常に注意しなければなりません。
病院の場合、実際の医療の質や受診体験が再受診や口コミに関わっていきます。患者さんにとっていい医療とは何か、良い受診体験とはどういったものかを模索することもマーケティングです。
また、情報を共有しやすい環境を作っておくこともマーケティングにおいて大切なことです。
これらの方法を用いて、自社・自院のターゲットを具体的な存在として捉えるように心がけると良い戦術を作ることができます。