集団と組織の違いは、使命や理念を持っているかどうかであるというお話を以前いたしました。
しかしいくら理念を持っていたとしても、それが組織のメンバーに浸透していなければ、理念がないのと同じことです。
今回は、組織に理念を浸透させるために行うべきことについて考えて見たいと思います。
目次
そもそもなぜ理念が必要なのか?
組織はある目的を持った集団です。つまり、目的を達成することが組織に求められていることです。そして、この目的に当たるのが使命や理念です。
(詳しくは「戦術①:理念を掲げる」をお読みください。)
理念を持つことで、その組織に文化が生まれ、その組織の雰囲気が創られていきます。
また、経営理念を浸透させることで、組織が向かうべき方向を明確にし、組織に一体感が生まれます。
当事者意識を持たせる。
はじめに残念な話をしておきます。
創業者や創業グループにとって組織の理念は達成すべきこと、まさに自分事ですが、それ以外のメンバーにとっては他人事でしかありません。
いくら思いを伝えて、それに共感してくれたと思い、その人を組織のメンバーに加えたとしても、そのままではその人にとって組織の理念は他人事のままです。
これはどうしようもない事実ですので受け止めるしかありません。
その上で大切なことは、経営理念を浸透させるために従業員に当事者意識を持たせるための仕組みがあるかどうかということです。
理念を浸透させるために良く用いられる方法として、理念と評価報酬制度を連動させるやり方が挙げられます。自分がどのような行動を取ればその組織で評価され報酬が増えるのかといことは、その人にとってまさに自分事です。この評価制度と理念を連動させます。
ただし、理念を浸透させたいという思いが強すぎて評価項目が細かく設定しすぎてしまうと、やるべきことがわかりづらくなってしまい逆効果になります。
多くても5項目程度にまとめるように心がけるべきです。
また、自分が現状どの点が評価され、今どの方向を目指せばいいのかというロードマップも合わせて作成するとより効果的です。
それ以外にも、通常の役職以外に経営理念に沿った役割や肩書きを与え行動を促したり、役職や肩書きを与える時にもその人に肩書きを与えた理由を理念に沿って明確伝えると効果的です。
繰り返し、繰り返し、熱を持って発信する。
次に大切なことは、経営者や創業者自身が理念を繰り返し、粘り強く、熱意を持って発信することです。
理念に対してもっとも熱を持っているのは、創業者や経営者に他なりません。そしてその熱が繰り返し繰り返し周囲に伝え続けることで伝染していきます。
創業者や経営者は組織を目指すべき方向へ導くドリーマーでなければいけません。それは、創業者・経営者にしかできない仕事です。
創業者・経営者自身が経営理念を浸透させることの重要性を理解し、恥ずかしがらず、感情を込めて繰り返し理念を語り続けましょう。
「なぜ理念を達成する必要があるのか?」を伝える。
その次に大切なことは、理念を伝えると同時になぜ理念を実践しなければならないという理由を伝えることです。
人間は常に出来事の理由を求める生き物であり、理由を伴う情報を重要なものと判断する傾向があります。また、理由のある物事は覚えることも簡単です。
理念の理由を伝え、理念だけでなくその理由まで理解できているかどうか確認することも、理念を浸透させるのにとても大切です。
理念の実践を具体的な行動まで落とし込む。
次に、具体的どのような行動が経営理念を実践していると言えるか具体例を示す必要があります。
いくら理念を理解していても、それを具体的な行動まで落とし込めないと意味がありません。
理念から導かれる日々の課題を設定し、それを実践するための基本となる行動指針を定め、課題解決に繋がる行動をとった職員を表彰する制度を設けるのも効果的です。
理念を達成することにインセンティブを働かせる。
これは、当事者意識を持たせるところでも書きましたが、理念達成のための課題解決に繋がる行動をとった場合にそれを評価し、報酬をもたらす仕組みを用意する必要があります。
この仕組み作ることで、理念を達成が自分事となり、組織のメンバーが理念を理解し実践することに理由を持たせることができます。
メンバーがアウトプットする場を作る。
創業者・経営者から繰り返し理念を語られる事で組織のメンバーに理念はインプットされていても、それをアプトプットできなければ本当に身についたということはできません。
従業員が継続的に経営理念の内容と実践状況をアウトプットする機会を作るようにしましょう。
例えば、理念達成のための課題解決に繋がる行動についてをみんなの前で発表する、経営方針についてメンバーが発表する場を作る、メンバーに新人への経営方針を指導させる、などの例が考えられます。