自己資源を投下すべき場所を絞る。
リサーチの結果、自社の市場について理解を深めると、市場にはさまざまなニーズが埋まっていることに気がつきます。そのニーズ全てに自己の資源を投下できればいいのですが、残念ながら、手持ちの資源は限られています。効率よく資源を使用しニーズをとらえていかなければ、市場で生き残ることができません。そのため、市場のどこ場所にニーズが集まっているかをある程度正確に捉え、その場所に集中的に資源を投下しなければなりません。このニーズがどこに集まっているかを捉える作業がSegmentationです。つまり、Reserchの結果をもとに市場を分類し、どの場所に自社・自院のサービスが刺さりそうかを考えることがSegmentationです。
Segmentationとは、戦うべき戦場を見極めるということ。
Segmentationとは自分たちにとって戦いやすい場所はどこなのかを探す作業と言えます。
当院を例にあげて考えてみましょう。医療における今後の国の方針として、今後急性期と呼ばれる重症の期間を扱うベッドを減らし、回復期と呼ばれるリハビリテーションの期間に対応する病院を増やそうというものがあります。これは増え続ける医療費の問題によるものです。急性期は最もコストがかかるのですが、『本当に急性期対応が必要な患者さん』と『そうでない患者さん』が混在して急性期病院に入院していることが問題の一つです。そのため、急性期が過ぎたら回復期に移行し最終的に自宅に帰る、という流れを国は作ろうとしております。現在、国や地方自治体は回復期の病院を増やそうと、色々な補助金制度を作り急性期病院から回復期病院への移行を後押ししています。
我々の強みは整形外科であり、近しい関係にあるリハビリテーションも対応可能です。そのため、国の方針を考え新規の病院ではリハビリテーションをメインに計画しております。しかしながら、このまま回復期病院が増え続ければ、その基準も厳しくなっていくことも予想されます。よって、補助金がもらえるからと喜んで回復期病院の許可を取りに行くのは危険です。今は良いかもしれませんが、数年後にはガラッと状況が変わる可能性があります。そして医療業界はこの手の急性転換がよく起こる業界でもあります。また、我々は整形外科の医院ですので、一定数急性期の患者さんもいらっしゃいます。これらの状況を勘案し、当院もリハビリテーション病院の基準を満たす体制を作りますが、初めからリハビリテーション病院の届出は出さず、しばらくは急性期病院として体制を整えることを方針といたしました。
このように、リサーチの結果から得られた情報を基に、周囲の状況と自身の状況を勘案し、戦う場所を見極めることがSegmentationです。