商品やサービスなど自社が顧客に提供するものをコンテンツと呼びます。
コンテンツの本質は、使用者に価値を与えることができるかどうかです。
ではこの価値とは一体なんのことなのでしょうか。
目次
コンテンツが持つ2つの価値
コンテンツには、メリットとベネフィットと呼ばれる2つの価値があります。
コンテンツ販売者は、この2つの価値の違いをしっかりと認識する必要があります。
メリット=提供価値
メリットとは、コンテツンツが使用者に提供する、スペックなどの機能的特徴を表す言葉です。
メリットは、提供側のセリングポイントということができます。
例えば、新しいiPhoneは画面が大きくなった、カメラのレンズの性能が上がった、などが提供価値に当たります。
私の法人で考えてみます。
クリニックでは、
① クリニックなのに、100坪もリハビリ室がある。
② クリニックなのに、理学療法士が20人近くいる。
③ クリニックなのに、MRIやCTなどの設備が揃っている。
③ 診察予約がアプリでできる。
④ 診察終了後すぐに帰れるサービスを提供している。
⑤ 夜19時まで診察している。
⑥ 医療機関で交通事故に特化したスペースがある。
病院では、
① 手術の上手だと思う先生を集めている。
② 自宅に変えることを意識したリハビリを提供している。
③ 医療モールと連動し、一貫した医療を提供できる。
などが挙げられます。
注意しなければならないのは、これはあくまでコンテンツ提供側の思いであり、使用者が本当に望んでいることとは異なるということをしっかりと理解する必要があるということです。
そのためには、2つ目の価値であるベネフィットを理解する必要があります。
ベネフィット=体験価値
ベネフィットとは、使用者がそのコンテンツを使用することで得られる価値のことです。
購入者は、そのコンテンツを使用することを想像し、ポジティブな方向に感情が動かされた時に、そのコンテンツを購入します。よって購入者の感情をポジティブな方向に動かすために、購入者を理解する必要があります。
購入者は、望ましい未来のために解決したい問題を抱えています。そして、提供されたコンテンツを利用することで、その問題を解決し、望ましい未来を手に入れたいと考えています。
つまり、コンテンツが問題を解決してくれる可能性が高ければ高いほど、感情が動かされそのコンテンツに価値を感じ、購入する可能性が高まるのです。
よってベネフィットとは、買い手のバイイングポイントと言うことができます。
購入者の感情をポジティブな方向に動かすポイントを知るためには、コンテンツを使用する「本来目的」を考えた上で、コンテンツを使用することで使用者のどのような欲望が刺激されるかをERG理論を基に考える必要があります。
本来目的
本来価値とは、そのコンテンツを使用する本当の目的を表す言葉です。
なぜそのコンテンツを使用する必要があるのかを深く考えることで、この本来価値に行き着くことができます。
先ほどコンテンツの購入者にはコンテンツを利用することで、ある問題を解決し手に入れたい未来があるというお話をしました。
この「手に入れたい未来」が本来目的に当たります。
例えば、新しい化粧品を購入するときの表面的な目的は「肌に綺麗に見せたい」かもしれませんが、本来の目的はこの表面的な目的と異なります。
この表面的な目的を深めることで本来目的に達することができます。
なぜ肌を綺麗に見せたいのか? ➡︎ 綺麗な肌と思われたいから。
なぜ綺麗な肌と思われたいのか? ➡︎ 自信を人と会えるようにしたいから。
なぜ自信を人と会えるようにしたいのか? ➡︎ 新たな人間関係を築きたいから。
つまり、新しい化粧品を購入する際の本来目的は、「新たな人間関係を築きたい」となります。そのためには、商品の質が高いことはもちろんですが、この目的を叶えられるというメッセージを広告などで発信する必要があります。
当院の場合、受診の表面的な目的は「膝の痛みをとって欲しい」というものであったとしても、
なぜ膝の痛みをとって欲しいのか? ➡︎ 大好きなゴルフをしたいから。
なぜ大好きなゴルフをしたいのか? ➡︎ 好きなことを楽しむ人生を送りたいから。
なぜ好きなことを楽しむ人生を送りたいのか? ➡︎ 人生をできる限り楽しみたいから。
本来目的は「人生をできる限り楽しみたい」かもしれません。であるならば、診療を行う中で、この本来目的を叶えるために繋がることを勧めて行くことが、かかりつけ患者さんになってくださる可能性を高めることに繋がります。
企業や組織の場合、その企業が選ばれる理由となる本来目的が理念や使命に近いほど、組織として一貫性が高まり信頼度が高まります。
機能的価値:生存欲求を刺激する価値
機能的価値とは、生存欲求を刺激する価値のことで、そのコンテンツを機能として持っていなけれならない価値を意味するものです。逆にそのコンテンツが機能的価値を持っていなければ、そもそも商品として成り立つことができません。
例えば、新しいボールペンを購入するとき、そのボールペンの最低限必要な機能的価値とは「字が書ける」ことになります。
その上で、他のボールペンに比べて文字が描きやすく「1分あたりに書ける字の数が倍になる」というのも機能的価値です。
機能的価値は、コンテンツとして最低限必要なものから出発し、その上でコスト削減に繋がるや収益向上の繋がるといったメリットを加えられれば、より価値のあるものとして認識されるようになります。
当院を例に考えてみると、最低限必要な機能的価値は「痛みをとる」になり、その上で「痛みの原因が分かり、また痛まない体作りができる」や「健康な体になれる」などが機能的価値として考えられます。
関係価値:関係欲求を刺激する価値
関係価値とは、関係欲求を刺激する価値のことで、コンテンツを使用することで対人関係に購入者が望むような変化をもたらす価値を意味しています。これには購入者が持つブライド・優越感・劣等感が強く影響を与えています。
例えば高級な時計を購入するとき、その時計をすることで周囲の人々からすごいと褒められる優越感を持つことができれば、それはその時計のもつ関係価値となります。
当院を例に考えてみると、「同じ痛みや悩みをもつ人々と出会い、悩みを共有することができる」ということは関係価値にとして考えられます。
またリハビリをうまく卒業した方のみが継続して利用できるトレーニングエリアも、そこに入ることができた人にとってプライドを刺激する関係価値となります。
成長価値:成長欲求を刺激する価値
成長価値とは、成長欲求を刺激する価値のことで、コンテンツを使用することで自分を成長させることができたり、今後の可能性を感じさせてくれる価値を意味しています。コンテンツを使用すると、「今までできなかったことができるようになる」や「コンテンツの持つ信頼を自分につけることができる」なども成長価値に含まれます。
例えばポケトークなどの翻訳機は、全く英語が喋れない人にとって即席で英語を喋れるというスキルを手に入れることができるものですので、これは成長価値と考えられます。
当院を例に考えると、「受診することで健康的な体を手に入れられる」その結果、行けなかった旅行にいけるなど「人生に対して前向きになれる」などが成長価値と考えられます。
価値とは使用者の感情をポジティブな方向に動かすもの
結局コンテンツを提供する側が考えることは、そのコンテンツが持つメリットによって使用者の感情をポジティブは方向に動かせるかどうか、です。
そのポジティブな方向とは使用者が望む未来の方向であり、使用者をその方向へ動かせる理由がコンテンツの持つ本当の価値と言えます。