関係欲求や成長欲求を満たす方法を知っていても、それを行う人間の心構えが間違って、長期的な成功を産むことはできません。
今回は、信頼を得る人に共通している3つの在り方について解説します。
『恥ずかしい、当たり前、面倒くさい』を捨てる
まず初めに大切はことは、ネガティブな感情を捨てるということです。ここでいうネガティブな感情とは、『恥ずかしい、当たり前、面倒くさい』の3つの感情です。これらのネガティブな感情があると、共感を示したり、素直に感謝の気持ちを伝えたり、敬意を示したりすることができなくなってしまいます。相手の感情に共感すること、純粋にすごいものはすごいと感じその気持ちを伝えること、感謝の気持ちを伝えることは、決してネガティヴなものではありません。むしろ、コミュニケーションを促進させるものです。3つの感情を捨て、コミュニケーションを積極的に取るようにしていきましょう。
3つの一貫性
在り方の2つ目として大切なことは、『3つ場面で一貫性を保つ』ことです。
① 発言と行動の一貫性
発言と行動が一致しない人物は、どんなに綺麗は事を言っても信頼を集めることはできません。自分の発言に責任を持ち、約束はしっかりと守る事を心がけます。特に大切なのは『小さな約束』です。大きな約束はその重要性から忘れることはないのですが、小さな約束は忘れがちです。しかし、自分にとっては小さくても相手のとっては大事かもしれませんし、小さな約束を守れないことが続くと大きなものになりえます。小さな信頼を積み重ねていくように心がけましょう。
② 人に対する態度の一貫性
人によって接する態度を変える人物は信頼を集めることはできません。また、その人の前では謙虚な態度をとるのに、裏で陰口を言うようなこともやってはいけません。このような一貫性に欠ける行動をとると、周囲の人々に『もしかしたら自分の時にも同様な行動をとっているのでないか』という疑念を抱かせることになり、信頼を集めることなど決してできなくなってしまいます。大切なことは、自分が人と接する時の態度をあらかじめ決めること</b>です。目上の方でも同僚でも後輩でも、常に尊敬の気持ちを持って接する</b>事を心がけましょう。
③ 平時と窮地の一貫性
普段は穏やかな性格でも、窮地になると急に乱暴な性格になる方がいらっしゃいますが、このような態度も周囲から信頼を集めることはできません。窮地の時にこそ、その人物の本当の人間性を見ることができます。窮地の時は誰でも焦るものです。普段通りの態度を保つのは難しいことも理解できます。しかし<b>窮地の時こそ、むしろ冷静に自分を俯瞰する姿勢を持つようにしましょう。
大切はことは、窮地になる前に、窮地の状況にいる自分を想像し、そのような時こそどうするべきかを想定しておくことです。窮地の時は呼吸が荒くなります。呼吸が荒くなると交感神経が刺激され、より攻撃的になってしまう傾向にあります。ですので窮地の時には腹式呼吸を意識し、呼吸をまず整えるようにします。次に今の自分の状況を俯瞰する視点を持つように心がけると冷静さを取り戻すことができます。このようなイメージトレーニングを平時に行うようにしましょう。
3つの一貫性は言葉で表現すると非常に簡単に思えますが、実践するのは難しいものです。大切なことは意識することです。意識しなければ改善することはできません。そして、できなかった場合は、なぜできなかったのかを見つめ直し次回に生かすことです。
視座を高く持つ
人間的に信頼を集めるために大切な在り方の3つ目、それは『視座を高く持つ』ことです。
視座とは、自分の視点の事を意味しています。では、自らの視点を高く保つとはどういう事でしょうか?
例えば、トヨタの車を購入しようと思っていると、いつも以上にトヨタ車が目に入る、などがこの良い例です。このように、人は何かを意識するとそれに関する情報を無意識のうちに集めるという性質を持っています。よって何かを達成しようと考えた時、そのことを可能な限り具体的に意識すること、よく言われるのは匂いを感じるほど想像すると、その目的を達成するために欠かせない情報を、無意識のうちに集めるようになります。この無意識の情報収集が、その目的の成功率を高めます。可能なかぎり具体的想像することで、その集める情報の精度も高まり、より成功率が高くなるのです。
また何かを達成しようと考えた時、多くの場合がその想像の8割程度に収まる傾向があります。よって目的達成を想像するときは、その目的の先まで想像することで、達成時の完成度を高めることができます。つまり、ビジネスで成功したいと考えたとき、そのビジネスで成功した姿を具体的想像するだけでなく、そのビジネスが提供するサービスによって世の中がどのように良くなるを具体的に想像し、その姿を実現するために活動を行うと、結果的にビジネスで成功することができるということです。
具体例として、有名なジャパネット高田の高田社長も、『通販で商品を販売するのではなく、幸せを販売するのだ』という気概でビジネスを行い、年商1700億の会社を作り上げることができたそうです。
このように、『達成したい目的のその先を想像すること』が視座を高く持つことに他なりません。そして、目的のその先が社会的意義を持つものであればあるほど、周囲からの信頼を集め、目的達成の確率が上がっていきます。
基本となる在り方の上に、適正な対応を心がける。
信頼を集めることは、経営者としてだけでなく、それこそ人間として大切なことです。
以上3つのような心構えこそが、人間的信頼を得るための土台となる、とても重要な人間として在り方と言えます。その上で、関係欲求や成長欲求を満たす行動を取るように心がければ、自然と信頼が集まってきます。