マーケティング 守りのマーケティング 経営について

守りのマーケティング:購入頻度

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攻めのマーケティングの復習

前回までの2回に渡り、攻めのマーケティングについてお話をいたしました。

攻めのマーケティングで資源を投下すべき対象は、「顧客数」と「客単価」です。「顧客数」を増やすためには、見込み客にとって魅力的なオファーを考え、そのオファーを商品・サービスのターゲットに効果的に刺さる媒体を選択することで「認知度」を上げ、その商品・サービスの初回利用がしやすい環境を作ることで「購入率」を上げることが必要だと言うお話をいたしました。また、客単価をあげるには、より高級な商品を販売するアップセルや、関連商品を合わせて販売するクロスセルについてお話をしました。

また医療経営において「客単価」を上げることには注意が必要です。医療では「顧客数」つまり新規顧客を増やすことに、積極的に資源を投下するべきというお話もしました。

最大の防御は最大の攻撃

守りのマーケティングが働きかけるビジネスドライバーは、「購入頻度」です。施設型の事業では「再来頻度」ということができます。

どうすれば、商品・サービスをまた利用したい、また行きたいと思ってくれるのでしょうか?これには、使用前後の感情の動きと商品・サービスを使う前の期待、つまり事前期待が大きく関わっています。

例えば、ある2つのラーメン店にラーメンを食べに行く時のことを想像してください。

1店目は、友人にすごく美味しいと紹介されたラーメン屋です。友人から、今まで味わったことのない旨味が凝縮されたスープに、そのスープを程好く絡めた喉越し抜群の麺が売りとの話を聞いて、あなたのそのラーメンに対する期待は最大限に高まっているとします。しかし、実際のラーメンは、確かに美味しかったのですが、食べる前の期待があまりにも高すぎたため、正直あまり感動できませんでした。

2店目は、家の近くにある、古くちょっと汚いラーメン屋です。家に食べるものがなく、しょうがなくそのラーメン屋に食べに行ったとします。そこで、1店目と全く同じラーメンが出てきたとしたらどのように感じるでしょうか。そのラーメンは確かに美味しいのですが、まさかこんな汚いラーメン屋でこれほどのラーメンに出会うとは想像していなかったと、きっと感動することでしょう。

つまり、いくら商品・サービスが良くても、あまりにも使用前の事前期待が高すぎてしまうと、使用に伴う感動が薄れてしまい、再利用に繋がらなくなってしまう可能性があるのです。

ここには、大きなジレンマがあります。事前期待が低い場合とは、そもそも魅力的なオファーを提供できていない可能性があります。となると、守りのマーケティングを行うべき新規顧客が集まらない可能性があるのです。

よって、魅力的なオフォーを提案するとともに、それを超える商品・サービスを提供する必要があるのです。

凡事徹底:当たり前のことを当たり前にやる。

難しく書きましたが、以上の事は商品・サービスを提供する上で『当たり前のこと』ですよね?

顧客の商品・サービスの使用体験を最大化させることこそが事業の本質です。これを目指さない事業はやるべきではありません。

そもそも、魅力的なオフォーをしておいて、それを下回るような商品・サービスを提供することは、詐欺でしかありません。最低限、オフォーを達成することは絶対条件と言えます。その上で、オフォーをうわまる価値を顧客に提供することができれば、それが感動を呼ぶのです。

医療においても同じことです。

患者さんに明日も健康な1日を暮らしてほしいから、自院ができる最良の医療を提供する。

(利益主義に走らない。走ると患者さんはその動きに敏感に気づきます。)

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最良の医療に、ターゲットが感じる価値と感じるサービスを加える。

(例えば、大事に至る前に、忙しい社会人でも受診しやすい体制を整えるなど。)

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受診しやすい環境作りによって、定期的な受診を促し、長期的な視点でかかりつけの患者さんが健康にする。

このような『当たり前のこと』を徹底している医院が近くにあるとすれば、患者さんは何度も受診したくなりますよね?

患者さんが当たり前に抱くニーズをしっかりと捉え、それにちゃんと答えていく。何かしらの悩みを持ち受診した患者さんの抱いていた期待や希望にしっかりと答え、患者さんの受診体験を想像以上の素晴らしいものにする。この想像からの振り幅が感動を呼ぶのです。その感動の振り幅が大きければ大きいほど、自院の魅力は高まり、患者さんのまた受診したいという思いが強くなります。つまり、「購入頻度」が高くなります。さらに、「魅力度」が高まれば受診したいと思ってくださる患者さんが増えていきます。「守り」が「攻め」に転じるのです。

 

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