凡人が短期間に非凡人になるための魔法
マニュアルを作成するとは、平凡な人材を非凡に育成するための戦術と言えます。
マニュアル化と聞くと、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか?ありきたり・人間味がない・面白くない・など、あまり良くないイメージが浮かんでくる方も多くいらっしゃると思います。sかし、それは誤った認識です。マニュアル化の本当の意味は、もっと素晴らしいものです。
マニュアル化とは、『凡人を非凡人にする素晴らしい仕組み』です。
私たちは医療法人として医療を提供しておりますが、職員全員が医師や看護師などの医療専門家ではありません。むしろ医療の専門家は少数派です。多数派であるのは事務方であり、特に患者さんと接する機会の多い医療事務は、専門学校を卒業している方も多いのですが、現場を体験していないメンバーが多いため、組織全体では医療の素人が大半を占めております。
そこで我々の医療法人には、職員を約3ヶ月間で医療玄人にする教育システムを準備しております。
まず初めの3ヶ月間で、一通りの業務が行えるようになれるマニュアルを準備しており、これに沿って勉強会を実施します。その上で、次に現場で実戦を積むことで、勉強会で得た知識を身につけて行きます。つまり、初めの約3ヶ月間で知識を、次の約3ヶ月は現場で実務を行うことで、半年でその道の玄人なれる仕組みを用意しております。
実際は、勉強会を行いながらと基本的は医療業を学べる受付業務を同時進行で行うため、何も知らない方から見れば、入職後たったの3ヶ月で医療の玄人に見える人材が誕生するような仕組みになっております。
誰がやっても同質のサービスを提供するための魔法
そして、マニュアル化にはもう一つの利点があります。それは、提供するサービスの質を一定に保つことができるということです。むしろマニュアルを作成しなければサービスの質は安定しません。
徹底したマニュアル教育で安定したサービスを提供している企業といえば、マクドナルドやスターバックスが挙げられます。
例えば、スターバックスでアイスカフェラテを買うときを想像してください。会計の前に立つと、店員の方が笑顔で注文の確認をしてくれます。その店員さんと顔なじみになると、ちょっとした小話をしてくる店員さんもいらっしゃいます。これは全てスターバックスの方針になる『カスタマーサービスを最高のものにする』という精神に基づいたマニュアルからくるものです。
また、ミルクを多めにしてほしい・氷を少なめにしてほしい、などの要望にも即座に『はい』と答えてくれます。これも、『社会的なルールに反さない限り、カスタマーが喜ぶことは従業員の判断で行っていい』というマニュアルに基づく行動です。
スターバックスに行くとき、私たちは少なからず『笑顔の接客・親切な対応・要望に即座に対応してくれる』という期待を持っています。そして、世界中どのスターバックスもこの期待に答えてくれる体制が整っております。これがマニュアルのなせる技なのです。
マニュアルを作る時は、初めから完璧を目指す必要はありません。マニュアルは、『現状でベストと思われる作業の手順を示したもの』と考えるべきです。<そう考えることで、マニュアルをより良いものにするという、イノベーションの余地が生まれます。そしてこのイノベーションの余地が、マニュアルを人間味のない冷たいものから、血の通った暖かいものに変えるのです。
与えられたマニュアルをただやるだけでは、面白みも何も感じることはできません。しかし、改善点を考えながらマニュアルを実践すると、マニュアル化された行動の意味を見つけ、より積極的に業務を行うようになります。
マニュアル作成のポイントと作成方法
マニュアルの作成する時、以下の4つの内容を考える必要があります。
① 目的:なんのためのマニュアルか。
例)始業時マニュアル
② 意義:なぜその目的のためにマニュアルを作る必要があるのか。
例)開院時間までに必要なサービスがちゃんと提供できるように環境を整えるため。
③ 道具:必要な物品が全て記載されているか。
例)パソコン、キャッシャーの鍵、など
④ 手順:記載された具体的な行動を手順の通り行えば漏れなく業務を遂行できるか。
例)電子カルテの電源を入れる、担当しの名前でログインする etc。
具体的な作成方法の流れとして、
(1) 2人以上でマニュアルの作成を行う
(2) 1人がその業務を実際行う
(3) もう1人がその行動を観察し手順書を作る
という流れが最も効率的です。
そして定期的に作成されたマニュアルについて問題点がないか話し合う機会を設けると、イノベーションを生み出すきっかけになります。この時、数字化し改善点を客観的に判断することが大切です。