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感情の変化を受け入れるためにはどうすればいいのか?
前回は、自社や自院に影響を与える外部環境についてお話を致しました。
外部環境は、PEST分析を利用すると整理しやすいのでおすすめです。(詳しくは5C分析:Context)
そして大切はことは、これらの外部環境は自らでは変えることができない、ということです。そして、たとえ変えることはできなくても、正確に捉えることができればそれを受け入れる準備をすることができます。そのためには自社についてもしっかりと理解する必要があります。5Cの2つ目であるCompanyとはまさにこのことを意味する言葉です。
Company:自社を正確に把握する
5C分析のCompanyとは、自社の能力や特徴を理解したり、使うことができる経営資源を可能な限り把握することを意味します。変えることができない外的要因に対して、自らが変化し適応して行くためには、自身について深く理解する必要があります。そして、残念なことに目的を達成するために必要な資源は常に不足しているものです。そのために、自社や自院の強み・弱み・能力・特徴などをしっかりと理解し、使える資源をしっかりと確認する必要があります。また、見方を変えることで、一見弱みに見えたところが、実は強みに転じるリソースになる場合もあります。
SWOT分析
自社・自院を理解するにはSWOT分析が非常に有効です。
S: Strength = 強み
自社・自院が競合他社に対して優位にある点を見つけます。
この時に大切はことは、競合他社を正確にイメージすることです。そのイメージを基準に強みを考えなければ、単なる独りよがりでしかありません。
当院を例に上げれば、
一次医療の他医療機関に対して、
① 検査機器が充実している。(MRIがある診療所はほぼありません。)
② 23区内で最大級の広さを持つリハビリ室。(100坪のリハビリ室は23区内の診療所ではほぼありません。)
③ 2~3人の整形外科専門医による外来。(同じ科の医師が2~3人同時に診察を行なって診療所はほぼありません。)
④ 専門外来の開設(整形外科も上肢・下肢・脊椎・腫瘍など専門性があり、全ての専門家が揃っています。)
また2,3次病院に対して、
① 受診までの時間が短い。(受診までの時間が短くなるような様々な仕掛けを用意しております。)
② 同じレベルの医療を提供できる。(診察を行う医師たちは2,3次病院で勤務歴のある医師であり、設備も充実しております。)
③ あくまで町の診療所である。(予約制ではなく、紹介状がなくても、受診された患者さんは全て診察させていただきます。)
以上のように、比較対象を明確にして考えると効果的です。
そして、医院の競合他社は何も医院だけではありません。例えば、ある診療所が多くの人に来てもうことを戦略にした場合はであれば、コンビニがライバルになり得ます。病院が個室のアメニティの充実を考えた場合であれば、ホテルがライバルになり得ます。
自社の戦略対象を取り合う可能性がある企業は全て競合になり得るため、それぞれに対してもしっかりと一つ一つ確認する必要があります。
W: Weakness = 弱み
自社・自院が競合他社に対して劣位にある点のことです。
弱みについても強みと同様に、対象を明確にすることで一つ一つ確認する必要があります。
この時に大切な考え方があります。それは、強みについて他の角度から見直してみるという考え方です。
当院を例に考えれば、一次医療の医療機関に対して、
強み:2~3人の整形外科専門医による外来 → 弱み:曜日によって外来担当医師が異なるので患者さんが受診しにくい。
強み:2~3人の整形外科専門医による外来 → 弱み:一番コストのかかる医師を多く抱えることで高コスト体質になってしまう。
このように、強さと弱さはコインの表と裏のような関係があります。しかし、強さの裏にある弱さをしっかりと理解しそれに対して対策を行うことで、強さはよりその強さを増すことができます。
O: Opportunity = 機会・チャンス
機会・チャンスとは、自社にとって目的を達成するために絶好の要因のことです。法制度が自社に優位なものになった、新たな補助金が生まれた、経験のある職員が入ったなどが考えられます。
チャンスの後には、『勝って兜の緒を締めよ』のように、背景に脅威が隠れている可能性があるので注意を怠らない姿勢が大切です。
T: Threat = 脅威
脅威とは、自社や自院の存在を脅かす要因のことです。
近くに強力な競合他社が現れる、訴訟問題が起こる、職員が一斉に退職するなど直接的なダメージを及ぼす要因です。これの中には、前もって対処すれば回避できることと回避できないことがあります。
注意をおこなることで回避できたはずの脅威が手遅れになってしまうことが一番勿体無いので、常にアンテナを貼って置く必要があります。
実は、機会・チャンスと次にあげる脅威もコインの面と裏の関係にあることが多いです。このように考えれば、脅威も乗り越えれば次のステージがあると考えることができます。
SWOTの中でも、『変えやすいもの』・『変えにくいもの』があります。『変えにくいもの』は受け入れ、『変えやすいもの』はより良いものに変えて行くことを心がけましょう。